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特攻隊員の遺書「世界記憶遺産」に登録申請の理由は?海外の反応は? [社会]

鹿児島県南九州市は市立知覧平和会館に収蔵されている特攻隊員の遺書を「世界記憶遺産」登録に向けて、国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部に申請書を郵送したというニュースが英BBCのニュース番組などで大きく取り上げられ、ある種の物議を醸しています。



海外の反響


この特攻隊員の遺書を世界記憶遺産に登録する申請書をユネスコに送ったというニュースは、日本国内でも、海外の反響を伝える形で報じられました。当然、中国、韓国はこの動きに対して反発しています。また、BBCも「狂信的」という言葉でイスラム過激派の自爆と比較して伝えていました。

このように、海外からは反発を受けることは解かっていながらも特攻隊員の遺書を世界記憶遺産に登録しようとしたその真意が、正確には伝わっていないように思います。

英エコノミスト誌3月1日号では、映画「永遠の0(ゼロ)」が日本で大ヒットしていることと絡めて、批判的に取り上げています。


原作者、百田尚樹氏について


エコノミスト誌は、「永遠の0」は、邦画として過去最多の観客動員数を誇る映画の一つになりそうと伝えながら、原作者の百田尚樹氏に対して、保守派にしてもより右寄りで、安倍晋三首相とも親しく、また、2月に行われた東京都知事選挙に田母神俊雄氏の応援に駆け付け、また、安倍晋三首相が、NHKの経営委員に任命したことを取り上げています。


どうして特攻隊員の遺書の申請を決めたのか?


知覧特攻平和会館の菊永克幸館長によれば、特攻隊の遺書の「世界記憶遺産」登録申請に関して多くの意見が寄せられているそうで、その多くが激励とのことです。

南九州市の霜出勘平市長は記者会見で「明日、命がないという極限の状況で隊員が残した真実の言葉を保存、継承し、世界に戦争の悲惨さを伝えたい」と述べています。

霜出市長が特攻隊員の遺書を申請しようと決めたのは、東京に住む特攻隊員の遺族縁者、福島昴(たかし)氏の助言を受けて、戦後70年を迎える2015年に遺産登録を目指して特攻隊員の遺書のユネスコへの申請を決めたと言います。


知覧特攻平和観間には1750万人が来館


知覧特攻平和会館には大戦末期沖縄戦で亡くなった旧陸軍特別攻撃隊の遺書や写真など 約1万4000点を収蔵しています。1975年開館以来、入館者は1750万人に達します。修学旅行の「平和教育の場」としてすっかりと定着しているそうです。知覧特攻平和会館に収蔵されている特攻隊員の遺書は、検閲されていたとはいえ、人々の心を打つ、強烈な印象を残すものばかりです。


特攻隊員の美化は隊員を二度死に追いやる


南九州市の世界記憶遺産への申請準備は『永遠の0』ブームや安倍晋三首相の靖国神社とは全く関係なく行われたものですが、海外の目はそうは捉えておらず、その点、霜出市長は不本意だろうと思います。

特攻隊員は、本当の気持ちを綴った手紙をお手伝いの女学生に託したと言います。知覧特攻平和会館に展示連れている特攻隊員の遺書で、検閲されたものには「検閲」の印が押されていますが、そうでないものも数多く展示されています。

福島昴さんは、それではどんな思いで登録申請を進言したのでしょうか。福島さんの話では、「特攻が美化されています。知っている人がだんだん少なくなっています。本当の話ではなく、いい加減に書かれたものがたくさん出ています。本当の特攻とは違ったものになっています」(2月27日付BLOGOS「『知覧からの手紙』(特攻隊員の遺書)は世界に伝わるか」より引用)と語っています。

果たして、現代日本人は、特攻に関して海外の人に誤解を解くだけの説明ができるのか、と問われれば、映画「永遠の0」の大ヒットに見られるように、特攻隊員がかなり「美化」されたようにしか語れないのではないかと自戒も込めて言えるのではないかと思います。

特攻隊員も人間だったのです。そして、戦場に散ってゆきました。「神風」特攻隊を美化することは、二度特攻隊員を死に追いやることになるのではないかという、福島さんの意見を重く受け止め、戦争とは、例えば特攻という余りに理不尽な作戦すらをも遂行してしまうという筆舌尽くし難い、様々な感情や思いが「死」を中心にして交錯するものであって、軽々に語れるものではないとの思いを今回の特攻隊員の遺書の世界記憶遺産登録の申請で考えさせられました。








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